~赤磐ぐんぐんだよりは、

 松田以外の療育スタッフが 毎月交代で、育てる会会報掲載用に書いています~

 

 

赤磐ぐんぐんだより 20227月末号

 

今年の梅雨はとても短くあっという間に明けましたね。
連日、真夏日や猛暑日となり、外に出るとジリジリと焼けるような暑さを感じます。
最高気温40度以上の時は「酷暑日」というらしいですが、岡山ではそんな日が来ませんように。

こまめに水分補給しながら熱中症に注意して過ごしましょう。

 

 

さて、今回の赤磐ぐんぐんだよりのテーマは「わが子はどんな子?」です。

 

赤磐ぐんぐんでは7月の保護者座談会で「小学校に向けて」をテーマにお話したり、
「小学校に向けて」の動画を参考に小学校をどうするか考えたりで、
特に年長の保護者の方からの相談がより具体的になっているように感じます。
小学校でもできる支援をご家族と一緒に考えていけたらと思っています。

園での行事ごと(たとえば運動会や発表会)があると、
「繰り返し練習から逃げてしまう」
「大きな打楽器の音が苦手でその場にいられない」
「ダンスが覚えられず、家でもやりたがらない」
「暑さが苦手で集中できない」など、
様々な相談を受けることがあります。

 

 

先日、年長のA君のお母さんから、園の様子についての相談がありました。

A君は音への過敏さがあるお子さんです。
ご家族はA君の音への過敏性を理解されていて、
園とも相談しながらA君が安心して過ごせるように対応を考えられてきました。

小さい頃は音がうるさく感じる時は別室へ移動して過ごし、落ち着いたら戻って活動に参加するといったこともしてこられました。
少しずつできることが増え、色々なことに参加ができるようになっていました。

ある日の運動会でのダンス練習でのこと。

それまでは年長だけでの練習でしたが、その日は年中も一緒に練習することになったそうです。

A君はとてもまじめに練習をしていましたが、その日は担任の先生が気付くと、両手で耳を塞いで泣いていたそうです(異変に気付いた後は、担任の先生がすぐに対応してくださいました)。
その日は熱中症対策などで炎天下ではなく室内での練習で、音の反響などもあったようで、しんどくなったようでした。

「小学生になっても、こういうことはありそうだし今後どうしていったらいいでしょうか」との相談でした。

 

A君は普段、赤磐ぐんぐんの療育の中で、
人を呼びたい時・嫌なことがあった時・分からない時、
どう振る舞ったらどう解決するかについて、チャート式で対応方法を学んでいます。

ただ見せるだけでなく「○○について練習するよ」と伝えて、
まずは設定された場面でスタッフと一緒にやってみます。
学習中や遊んでいる時にもやってみて、さらにお母さんとも練習します。
A君は体験することで「できる!」「分かった!」と実感し学んだことは自分から取り組めるお子さんです。
ご家庭でもとりくんでもらうことで、お母さん以外のご家族にも有効性を理解してもらっています。

 

A君にいつものチャート式で
「音がうるさい時にはこうしたらいいよ」
「周りの人は助けてくれるよ」と
A君にできそうなことを教えること、
園の先生たちに本人がそのような場面になった時に
「これ使ったらいいんだよ」というように声かけをしていただくなどの配慮を
お願いしていくのはどうだろうかとお母さんと確認しました。

 

そしてお母さんと確認したことがもう一点。

皆と一緒に活動していた場面だったとのことで
「その時の他のお子さん達の反応はどうでしたか?」とお聞きしました。

A君の様子を見て泣き真似をしてからかうような素振りをする子もいたようです。

お母さんは、「ショックだけど仕方ないのかな…」とお話しておられました。
でも、本人がしんどい思いをしている上にからかわれるなんて、切ないですよね。

今は自分のことで精一杯で、からかわれていることなどに気付いていないA君も、
年齢が上がるにつれて気付く時が来るかもしれません。
その時、A君が傷ついてしまうことも想定されます。

 

では、泣き真似をしてからかう子は、なぜ笑っていたのでしょうか?

A君が音が大きくて苦しくて辛くて泣いているのに、それを分かった上で、からかっていたのでしょうか?
おそらく、A君がなぜ泣いているのか何に対して苦しいと思っているのか、
同じぐらいの年齢の周りの子たちには分かりづらかったのではないかと思います。

 

「じゃあ、周りのお子さんたちにどうA君のことを伝えてもらったらいいか」

 

ほとんどの方は、わが子のことを周りの子どもたちにどう説明したらいいか、大いに悩まれると思います。
「どう伝えるかは先生の腕次第!」では先生も大変です。
個人情報なので先生達も何をどのように伝えたらいいのか、もしかしたら悩まれているかもしれません。

 

 

別のお子さんB君でこんなことがありました。

始業式でクラス写真を撮る際、B君は何回も撮影が続くのでパニックになったそうです。
その場に一緒におられたB君のお母さんは、最初は頑張ってほしくてB君の近くで励ましていたそうですが、集合写真はたいていの場合カメラマンの方が「OK」「終わり!」となるまで続くので、何枚撮ったら終わりになるのかをお母さんも把握できず、本人にも伝えられなかったそうです。
B君にとっては初めての写真撮影ということもあり、いつまでやるのかいつ終わるのかという不安からパニックになったそうです。

同じ学年の他の子ども達はどうしたらいいのか分からず、なぜ騒いでいるのか分からず、戸惑った様子でした。

 

そこで、クラスの中でB君も皆も過ごせるように、B君自身ができる方法やどのように伝えるかお母さんと先生で考えを重ね、
後日担任の先生から皆に「B君は初めてのことは緊張するんだ。でも一回なら頑張れるからね」とお話があったそうです。

 

幼児期や小学校低学年の定型発達の子どもたちは、
親や先生など身近な大人たちの対応を見て学ぶことが多く、
子どもたちに関わる大人の説明の仕方が大きく影響します。

担任の先生のお話ならなおさらですね。

 

クラスの子たちは、家で
B君は一回ならがんばれるんだって。写真撮る時は何回もやったからイヤだったんだって」と伝えたり、
B君のお母さんに「B君、今日一回がんばっとったよ!」と教えてくれる子もいたりしたそうです。

「診断がついている子だから」という理由ではなく、「B君はこんな子だから」と先生や子ども達から認めてもらっていることで、お互いに過ごしやすくなるんだなと感じました。

 

 

A君は、ご家庭や療育で困った時には支援ツールを活用しながら慣れた大人に助けを求められるようになってきています。

お母さんが、療育で伝えてきた方法と同じ方法(チャート)を活用して、
音がうるさい時にはイヤーマフを付けてその場から離れたら大丈夫になるよ、というチャートを描いてくださいました。

A君は「うるさい時はこうするんだよね」と言って、
自信を持って家庭で練習中だそうです。
ご家族が丁寧にA君に合う支援をしてこられ、
本人にもその支援をする理由を伝えてきたからこそだと感じました。


また、A君のお母さんと園の先生とで相談され、
園の先生の方から
「音が普段のものよりも大きかったのが辛かったんだと思います」
「新しいことでもチャレンジできることが増えてきているからこそ、
 園でもできる支援をしていきたいと思いますので一緒に考えさせてください」
などお話してくだったとのことです。

これまでのやりとりの中で、
お母さんが園の先生と信頼関係や相談し合える関係を作ってこられたからこそだなと思います。

 

 

A君・B君のお母さんたちも、
最初から
「うちの子はこういうことが苦手」
「こうしたら安心」
と分かっていた訳ではないと思います。

わが子がなぜ泣いているのか混乱しているのか分からないうちは、
わが子のためにと
「ちゃんとして!」
「皆できているのに、置いていかれるよ!」
「頑張れ!」
と何度も言って聞かせたり励ましたりと悩みながらも一生懸命にされていました。

それが間違いだったと言うことではなく、
なぜ泣いているのか混乱しているのか分からない時というのは、
親子ともしんどい状況が続いてしまい、それはとても大変だと思うのです。

 

赤磐ぐんぐんの療育では、
お子さんの行動の背景を探り、
上手くいく時はどういう時かを考え、
まずはご家族がわが子を理解してどういう工夫があるかを
スタッフと一緒に考えたものをご家庭で実践していただき、
お子さん自身も「こうすればできる」と実感できるようになるように支援しています。

そして、
わが子に関わる周りの人たちにご家族が(言葉は選びつつ^^)伝えていくことで、
親子や周りの皆が笑顔になれるといいなと思います。

 

就学や進級に向けてサポートブックの作成で、
先生に知っておいてほしいお子さんの様々な情報をまとめていくと思います。

我が子についてじっくり考え、我が子はこんな子ですと伝える機会が増えていきますね。
何をどうやって伝えたらいいのか悩まれる時には、
スタッフも一緒になってお子さんが安心して楽しく過ごすために、
ご家族と考えていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

 

(赤磐ぐんぐん療育スタッフ:A