~赤磐ぐんぐんだよりは、
 松田以外の療育スタッフが毎月交代で、育てる会会報掲載用に書いています~



赤磐ぐんぐんだより 20228月末号


 

いよいよ夏も後半戦。
お盆を過ぎたあたりからは、とんぼが飛び始め
少しずつ秋の気配を感じられるようになってきました。
朝晩は涼しくなりましたが、まだまだ残暑が残る毎日、体調に気を付けて過ごしていきたいですね。

 

さて、今回の赤磐ぐんぐんだよりのテーマは「『遊び』から見えてきたこと」です。

 

お子さんはどんな遊びが好きですか?

赤磐ぐんぐんでは、「先生と遊び」「グループ活動」の時間の中で
お子さんの「遊びと社会性のアセスメント」を ご家族と一緒に実施しています。

特別な検査をするのではなく、場面を設定した中で色々な玩具を提供し
その中で
お子さんがどんな玩具に興味を持っているか
どんな遊び方をするのか
遊びの中でどのように大人や相手に働きかけてくるかを見るための
情報収集として行っています。

そして
その様子を ご家族にも見ていただき、一緒にシートに書き込んで
ご家族が気づいたこと・私たちが気づいたことなどを 共有していきます。

 

「意外とままごと遊び好きなんだなー。興味があるから相手とシェアしていた」

「積み木とか自由度が高い遊びだと どうしたらいいのか分からないのかも」

「何かを作る遊びだと 自分の手元に一生懸命になっていたかな。
 先生の実況とか説明とかがあると、相手のしていることも チラッと一瞬見ていたかな」

「家だと、レゴやままごとを弟としています。弟をぐいぐいリードして遊びを広げていました。
 家と外での違いを改めて感じます」
など、客観的にお子さんの様子をじっくり観察し
普段の園や家庭での様子も お話していただくことで、色々な姿が見えてきます。

OIP

その中から
「ここが課題かも」「こういう力を伸ばしていったらいいかも」などを
ご家族と一緒に 検討しています。

 

 

普段の遊び場面で、
お母さんと一緒に お子さんの様子を観察することで 気づいたことがありました。

 

Aちゃんはお喋りが大好きなお子さんです。

いつも自分の好きなことや 玩具で作っている物の説明など
たくさんのことを教えてくれます。

でも
勉強場面で困った時には
「あれー」「うまくいかないな」「どうしたらいいんだろう」と
独り言のように小声で呟いてチラチラ大人を見ています。

就学に向けて、自分から相手に伝える力を育てていくために
「こういう場面では、『手伝って』と言えば良いんだ」と自分で気づけるよう
イラスト+文字の台詞カードを用意し、それを本人の目の前に置くようにしていました。

大きさや形などもご家族と相談しながら作成したカードを使うと、
勉強場面では、少し独り言を呟いた後、
自分でそのカードに気づいて 台詞を思い出して伝えることができるようになってきました。


そこで
ご家族と相談し勉強場面だけでなく
もっと場面を広げて遊び場面でも練習していこう!ということで、
遊び場面でも 台詞カードを用意してみました。


近くに大人がいると大人の声や動きが刺激になっているのか
あまり台詞カードに注目しづらくなっていたため
「勉強場面でも少し待っていると自分から気付いていたから、ちょっと離れて待ってみましょう」
と 少しだけ距離を取って本人の様子を見てみました。

 

折り紙に挑戦するAちゃん。
「あー、難しいな」と呟いています。


以前は、大人がすかさず
「どこが難しいの?」「ここは難しいから手伝うね」と
働きかけることが多かったので、
今回は 支援者もお母さんも少し離れた場所にいて見守っていました。


すると
Aちゃんは自分から側に置いてある台詞カードを見て
「あ。ママ、手伝って」と伝えにくることができました。


大人が『少し待つ』『出づらい時には台詞カードをもう少し目立たせて思い出せるようにする』ことで
その後も 援助要請や呼名をする機会が ぐっと増えてくることを確認し
お母さんからは
「家だと『待つ』ことが難しくて、どうしても大人がせかせかしてしまうけど、
  今日の療育で大人が待って関わった時は頑張って言おうとする姿がたくさん見られたように思います」
「家庭でも『待つ』を意識していきたいし、
  出てこずにコメントになってくる時には、大人の聞き方や促し方も考えていきたい」
とコメントしてくださっていました。

 


場面を作る大切さを感じると共に、
場所が変わった時にも
普段使っているものと同じ視覚的な手掛りを使うことで
「あ、同じように伝えたら良いんだな」と
思いだせるきっかけになるんだなと 改めて 視覚的なものの有効性を感じる場面でした。

 

 

もう一つ
「遊びについて」赤磐ぐんぐんのコンサルの際に、
コンサルタントの川崎医療福祉大学の諏訪利明先生から
教えていただいたことがあります。


 

机上での勉強場面では、
相手の反応をよく確認しながら笑顔でやり取りができるBちゃん。

でも、遊び場面では、目の前の玩具に集中して「見て見て見て!」と言いながらも、
こちらがリアクションしたり見ていても ほとんど相手には注目していません。
一人遊びに近い形に なっていました。

 

その日、諏訪先生が 実際に 遊び場面に参加して
実演してくださいました。


 

Bちゃんが「見て!」の発信がある際
「見るよ!!なになに!!」
「えー!すごい!これ〇〇だね!!上手!!」
とググッと反応しておられました。

そうするとBちゃんは
「ちゃんと見てくれている」
と安心しています。

それを何度か繰り返した後、今度は意図的に引いておられました。

すると
「見て!…見て見て見て!……ん?あれ?」
と気づき、
諏訪先生の方をチラッとBちゃんが自分から見たのです。

すると、すかさず「見るよ!!」と
またググググッと反応を返しておられ、
そこからBちゃんは 少しずつ諏訪先生を
自分から見る場面が増えていきました。


そして、Bちゃんが
諏訪先生の反応を自分から確認するようになってきたら
すかさず
次は 隣で遊んでいたCちゃんのしていることにも注目を促すようなやりとりを、
これまたメリハリをつけてしておられました。


するとなんと
BちゃんはCちゃんのしていることにも 自分から注目する場面が増えていったのです。


私は
Bちゃんの相手への意識の向け方の変化を目の当たりにし、ただただびっくりしました。

 


その後の全体の振り返りの中で
諏訪先生に 再度遊び場面について 質問させていただきました。



諏訪先生からは
なぜASDのお子さんが玩具に没頭していると 相手に注目しづらいのかということを
学習スタイルを踏まえて 説明してくださった上で、

「関わりにメリハリを付けて、
  ぐっと関わる瞬間と 引いて遊びを見守ることに
  はっきりと違いを付けることで、
  相手の存在に気づきやすくなっていくからね」

「最初は大人が展開を作っていくんだよ」

「常にアセスメントしながらね」

「お子さん同士をつなぐ時も、意識していくといいね」
など丁寧にお話してくださいました。

 

その話は、私にとっては目から鱗のような感覚でした。


私は4月から赤磐ぐんぐんに就職したばかりです。

お子さんに対して
ねらいを持って療育をすることが大事であることは
何度も先輩たちから教えていただいていましたが
遊び場面では何となく
たくさん話しかけたり できるだけ多く関わったりするのが良いと
思っているところがありました。


『何事も意識して関わっていく』ことについて、
実際に
ビフォーアフターを諏訪先生の実演で見せていただき
「遊び」と一言で言っても
本当に奥が深いなと思いました。


 

同世代の子ども同士では
なかなか本人のペースに合わせてはくれません。


関わりたいという意欲が高まるよう
まずは大人が練習相手になりながら
経験して「こうすると相手とうまくやりとりできるな」と実感し
それを少しずつお子さん同士に繋げて広げていく…。


「教えるからこそ身につく」
「具体的に行動の結果をハッキリ見せると意図が取れる」
のが ASDのお子さんたちの強みです。


遊び場面でのお子さんたちの実際の姿を見て、
もっともっと
支援者として日々の場面設定を工夫していきたい!!と強く思いました
(毎日学ばせていただく日々です)。

 


お子さんにとって、学びがたくさんある『遊び』の時間。


ご家族と一緒に、一つ一つ丁寧に積み重ねて、成長を喜びあいたいです。

ぜひ感じたこと・発見したことをこれからもたくさん教えてください。


 

(赤磐ぐんぐん療育スタッフ:S