新年度になり約2か月が経ちました。

新しい時間帯やメンバーにもずいぶん慣れてきて、お子さんたちが少しずつ周りを見たり感じたりすることができています。色々チャレンジしようとした矢先、岡山県にも新型コロナウイルス緊急事態宣言が出て、なかなか「いつも通り」が難しい日が続いています。

赤磐ぐんぐんでは、スタッフ一同で感染拡大防止を徹底し、皆様に安心して療育をご利用いただけるよう最善を尽くしています。よろしくお願いします。

  

さて、今月の会報では赤磐ぐんぐんで考える「ASDのお子さんの他者への興味関心の伸ばし方」についてのお話です。

 

赤磐ぐんぐんでは、グループ分けをする際、年齢や性別というものよりも、コミュニケーションや社会性の発達の段階などが近いお子さん同士でグループ分けをさせていただいています。

5月頭に行った第一回保護者座談会では、ご家族に「うちの子紹介」の時間を設定し、お子さんの好きなものや興味があること、どういうところが親としてかわいいと思っているか、同室のご家族に知っておいてもらいたいことなどをお互いに話す時間を持ちました。

どのご家族もお子さんへの愛情が溢れつつ、お子さんのキャラクターをよく捉えられており和やかな雰囲気となりました。その中でも「え!〇〇?!うちの子も好きです」「へー、〇〇をそんな風にして使うんですね。面白い!」など、お互いの興味関心を知れたことも大きな成果だったと思います。

 

その中で、偶然「海の生き物が好き」なお子さんたちが同じグループ内にいることが、遊び場面での様子や座談会でのお話の中で見えてきました。お子さん同士のコアな海の生き物についての会話や関わりを見ていて、しみじみ実感したのは「好きなものや興味が共通していることの力ってすごい!」です。

お互いに好きなものが同じであることは、単純に会話が盛り上がるだけでなく、「この海の生き物についてよく分かってくれる子は、一体誰なのだろう?」「あの子、また今度のぐんぐんでも話ができるかな?」と相手への興味が湧いてきている様子が見られました。

 

昨年度、保護者向け連続勉強会「自閉症支援 基本のき」の講義の中で、川崎医療福祉大学の重松孝治先生が「ASDのお子さんは『人への興味活動や課題への興味』という形より、『活動や課題への興味人への興味』という流れで社会性が伸びていく」とお話されていました。

定型発達の人は「仲良くなった人と一緒にいたいから活動をしていく」という形が多いけれど、ASDのお子さんはむしろ逆の流れで、「まずは楽しい活動や本人の興味関心の強い活動の場面を共有して、そこから徐々に相手への意識を伸ばしていく」という形で、社会性や他者への興味関心が広がっていくんだとのことです。


今回の様子は「まさにそれだなあ」と感じる一コマでした。

 

昨年度から、赤磐ぐんぐんでは「表出(自発)コミュニケーション」や「遊び」や「社会性」について、ご家族と一緒に、今のお子さんの現状と課題をアセスメントしています。ただ見るだけでなく、ご家族にもアセスメント用紙をお渡しして、記録していただいています(お父さんやおじいちゃんやおばあちゃんにも協力していただいています)。

 

その中で、「グループでの社会性アセスメント」も行い、お子さん同士での相手への注目具合や共有の仕方を見たり、どんな玩具を使うと相手への興味の仕方が変わっていくのかを見たり、どういうアプローチをしていくと相手への興味関心を伸ばしていけるかなどを、ご家族と一緒に考える時間を持ちました。


お子さんの社会性を伸ばしていくために効果的なグループ活動の内容や設定の参考にしていきます。ご家族と一緒につけていくことで、療育の中だけ・スタッフだけでは分からなかったお子さんの言動の背景を教えていただくことも多く、スタッフにとって、療育のヒントとなるお子さんへの理解が深まる学びの時間ともなっています。ありがとうございます。

 

赤磐ぐんぐんは、保護者同室での療育です。お子さんの反応を直接見ていただけること、それに合わせてご家族がどう感じておられるかを直接その場で聞けるという大きなメリットがあります。「毎日が参観日」だけでなく、「毎日参加型」療育です。


お子さんの興味関心や好きなものはディープに深堀りしていくお子さんもおられますし、その月やその週やその日によってもどんどん幅広く移り変わるお子さんもおられます。


「ぴえん」も「マイクラ」も「パウパトロール」も「ゼンカイジャー」も「すみっこぐらし」も「呪術回線」も、お子さんやご家族から色々教えてもらうスタッフたちです。本当に皆好きなものいっぱい!私たちスタッフは色々もっとアンテナ張っていかなきゃ!ですね!


前述した重松先生のお話にもあったように、「好きなもの」→「相手への興味」に広げていけるよう、お子さん同士が少しずつ相手への興味に繋がっていけるよう、うまく繋ぎ役になっていきながら、楽しくてワクワクするハートフル療育を目指していきたいと思います。今後とも、色々教えてください!よろしくお願いいたします。

 

(赤磐ぐんぐんスタッフ:O