梅雨に入り、すっきりとしない天気の日がある一方、初夏の暑さを感じるような日もあります。
コロナ感染予防の観点から、なかなか外出もできない上に
雨や暑さで 屋外で思いきり遊ぶことができないような日は
子どもたちもご家族も うずうずしているかもしれないですね。

赤磐ぐんぐんでは、部屋の中でも 笑顔いっぱいで 思いきり遊ぶ子どもたちの姿から、
毎日たくさんの元気をもらっています。


 

さて、今月の会報のテーマは、「ご家族の本人理解の深まり」についてのお話です。

赤磐ぐんぐんの療育では、お子さんへの「本人支援」と共に、ご家族への「家族支援」を大切にしています。

 

この「家族支援」とは、どんなことでしょう?

厚生労働省の「児童発達支援ガイドライン」によると…
   ↓

 「障害のある子どもへの支援を進めるに当たっては、
 障害のある子どもを育てる家族への支援が重要である。
 
 障害のある子どもに対する各種の支援自体が、
 家族への支援の意味を持つものであるが、
 子どもを育てる家族に対して
 障害の特性や発達の各段階に応じて
 子どもの『育ち』や『暮らし』を安定させることを基本に置いて
 丁寧な支援を行うことにより、子ども本人にも良い影響を与えることが期待できる」

支援に当たっての配慮事項としていくつか紹介されている中には、
「家族が子どもの障害の特性等を理解していく理解のプロセス及び態様は、
 それぞれの家族で異なることを理解することが重要である。
 特に、子どもの障害の特性等の理解の前段階として、
 『気づき』の支援も重要な家族支援の内容であり、
 個別性に配慮して慎重に行うことが大切である」
と示されています。


難しい表現が多いですねー💦
 
赤磐ぐんぐんでは、少し簡単に言うと
ASDのお子さんを育てておられる「ご家族」が、
本人理解を深め、
わが子の子育てのコツをつかんでいけるようお手伝いすることが、
「家族支援」の一つであると考えています。


赤磐ぐんぐんは親子同室型の療育なので、日々療育をする中で、連絡帳や療育での様子などを通してご家族の思いや考えを聞く機会が多くあります。

今回は、ご家族の本人理解について素敵だなと思ったエピソードを二つ紹介します。

 


【エピソード①】

ある日のこと。

外出先で、お母さんがちょっとAくんにカバンを預けて、
その場を離れることになる場面がありました。

その際、お母さんは「ちょっと離れるから、カバンを見ておいて」とAくんに伝言しました。

 

この場合のお母さんの言いたかったこと・してほしかったことは、何だと思いますか?



 

お母さんが戻ってくると、Aくんは カバンの中身を ごそごそと 触っていたそうです。

 

お母さんとしては、「誰かに取られたり倒れたりしないよう、荷物番をしておいてね」と
伝えたつもりだったのでしょうが、
Aくんはその 暗黙的・抽象的な意味理解が難しく、
字義通りの理解をしてカバンの中身を 本人なりに一生懸命に「見ていた」のです。

 

そんなAくんの姿を見たお母さんは、
「『あー…』と思ったし、こっちの伝え方が悪かったんですよね」と 少し苦笑いしながら言っておられました。

 


【エピソード②】

ある日Bくんは お母さんと一緒に家でピザを作ることになったそうです。

生地に具材をトッピングする際、お母さんは「重ならないように のせてね」と本人に伝えました。


この場合のお母さんの言いたかったこと・してほしかったことは、何だと思いますか?

 

Bくんは、1ミリも重ならないように、コーンの一粒一粒まで、慎重に具材を乗せ始めたそうです。

お母さんとしては、
「焼く時に重なりすぎていると、上手く焼けないし、具材が偏らないように」
ぐらいのニュアンスだったのでしょうが、
BくんもAくんと同じように抽象的な意味理解が難しく、
字義通りの理解をした結果、絶対に重ねてはいけないのだと考えたのでしょう。

 

 そんなBくんの姿を見たお母さんは、「こんな感じだよ」と実際にモデルをやって見せました。
すると、Bくんは「そういうことか」と理解したようで、ほどほどに重ならないようにほどほど適当に具材を乗せていくことができました。



 

どちらのお母さんも「本人らしさ」を理解しておられて、
本人に分かるような伝え方の工夫に気づいておられること
(たとえば、誤解なく伝えるには、
 もっと具体的に「取られないように見張っていて」など言ってあげる方が本人には分かりやすいこと、
 言葉で分かりづらい時にはモデルを示してあげる方が分かりやすいことなど)、
そして
その本人への理解が無理しておられる様子ではなく、
「わが子にはこういう方法が向いている」というような、とても自然な形であるのが素敵だなと思いました。


 

幼児期の療育は、ご家族がASDのお子さんの「本人らしさ」を理解し、
お子さんとの上手な付き合い方を知り、それを周りに伝えられるようになることが、ゴールの一つであると私は思います。


 

赤磐ぐんぐんに通ってくださっているお子さんは、
ASDの診断が出ている子ども達ばかりです(「自閉症児を育てる会」なので)。


時として、診断を早くご家族が納得して受け入れていけるように、「障害受容」を急かされることもあるかもしれません。

でも、ご家族の立場に立ってみれば、
これまでの人生で考えてもいなかった診断に対し、
どう振る舞えばよいか、どう子育てしていったらいいのか、何が正解で何が間違っているのか…
戸惑うことばかりなのではないかなと思うのです。

 


赤磐ぐんぐんで ご家族に同室していただく中で 療育を進めていきながら、
少しずつご家族と「わが子らしさ」「子育ての工夫」を共有させていただき、
ご家族自身が「わが子にとって、過ごしやすい環境」「わが子が理解しやすい伝え方」の理解が深まっていくことの延長線に、
ASD理解」がゆっくりと進んでいき、繋がっていくのではないのかなと思うのです。

 


これからも、赤磐ぐんぐんのスタッフを信じて日々療育に通ってくださる家族の思いに全力で応えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

(赤磐ぐんぐんスタッフ:F)