アップしたつもりができておらず!
一か月遅れですー。
赤磐ぐんぐんだより(2024年5月末号)
新年度が始まって約2か月が経ちました。
赤磐ぐんぐんは年中・年長の就学前のお子さんが通ってこられている療育の事業所です。
育てる会の療育は「岡山県自閉症児を育てる会」の法人が運営しているため、ASD診断がついているお子さん対象の事業所です。お子さんによって性格や個性も様々で見せる姿も色々で、元気いっぱいな子・大人しい子・学者肌の子・思いついたら即行動の好奇心いっぱいな子…、十人十色・千差万別なお子さんたちです。
そして、どのお子さんにもASD診断がついています。
通ってこられる年齢層は同じでも、診断時期は様々で、1歳代に診断を受けた子はもう療育もすっかりベテラン勢!
ですが、
年少さんの最後に唐突に診断を受けることになって療育がスタートしたという場合も多く、ご家族も何が何やら…だと思います。
先日あるお母さんから
「園やお医者さんや市役所から『とにかく早く動こう』と言われて、言われるがままに動いて診断がついて、ぐんぐんに通うことになった」
「でも、全然ピンと来ていないし、療育の必要性も子育てで困っていることもそこまで強く感じていないから…」
「私が動いたことで、この子に診断がついてしまったんだなと思うと後悔する気持ちも少しある」とお話いただきました。
このお母さんに限らず、ご家族がお子さんを子育てする中で何らかの違和感を感じて受診や療育に繋がったケースではない(園や健診で声をかけられて)場合、この「置いてけぼり感」がとても多いです。
そういう時に私が思うのは
「心の準備が整う前に療育に繋がったご家族に対する家族支援として、私たちには何ができるだろう」ということです。
お子さんにASD診断が出るということは、きっと青天の霹靂のお気持ちでしたでしょう。
信じたくない気持ちや、将来に対する不安な気持ちや、
「あの時こうしていれば」というような後悔の気持ちもあるかもしれません。
もしかしたら園の先生や保健師さんへの怒りの気持ちもあるかもしれませんし、
周りの悩みのなさそうな定型発達のお子さんを持つ家族に対する恨めしい気持ちもあるかもしれませんし、
どこか「なるようになれ」というような諦めというか呆れというかやけっぱちというか
そういうぼんやりとした気持ちもあるかもしれません(これらはASDの子どもが二人いる松田の体験してきた気持ちです)。
悩みや戸惑いや葛藤など複雑な思いの中で、
赤磐ぐんぐんの療育に子育てや家事や仕事の都合をつけて時間を割いて来てくださるということは、
何らかの期待をしてくださっているのだと思います。
色々な葛藤や複雑な思いもありながら、来てくださっていること自体に感謝したい。
そして、
一緒に考えていかせてほしい、
少しでもお力になれることがあればお手伝いさせてほしいということを伝えたいのです。
子どもたちとご家族のハッピーのために、
専門家として何ができるかもいつも真剣に考えたいと思います。
一方で、気を付けたいなと思うこともあります。
赤磐ぐんぐんは「家族同室型療育」ですので、
お子さんの遊んでいる様子や学んでいる様子や同室のお子さんとのやり取りを見ながら色々なお話を進めることができるのですが、
そうしてお話する時に、こちらの価値観や思い込みでお話するのってすごく危険だなと思っています。
特に
良かれと思って色々お話することが、
どこか押しつけになったり支援者側の独りよがりだったりする危険性もあると思っています。
療育に通ってきてくださるからといって、
ASD診断が出たことに納得している訳ではないこともあります。
元気いっぱいそうに見えるお母さんだからといって、
子育てに色々悩んでいるということもあります。
積極的にお子さんと遊ばないように見えたお父さんが、
実はお子さんの行動をじっくり観察してタイミングを計っているということもあります。
お子さんへのアセスメント(情報収集)同様に、
ご家族が何をどう感じておられるかもしっかりアセスメントすることが必要です。
お子さんたちの場合は直接観察になりやすいですが、
お話ができる大人同士なので色々質問したり話を伺ったりしてコミュニケーションを取っていくことで、
ご家族の思いをしっかりアセスメントすることが大事なんだなぁと思います
(そのために、赤磐ぐんぐんは担当制ではなく全員でお子さんを見るスタイルを取っています)。
赤磐ぐんぐんのコンサルに来てくださっている
川崎医療福祉大学の諏訪利明先生が
「幼児期は家族支援がとても大事」
「この時期、家族がどんな専門家に出会って、何を感じていくかが、その家族に大きく影響を及ぼす」とよくお話してくださいます。
邪魔にならない・悪い影響にならないような専門家でありたいと思いますし、
可能であれば
「悪くない影響を与えられる」専門家になりたいと思う松田です
(「良い影響を与えられる」なんて…おこがましくて、まだまだ言えない!)。
そのためには、日々のトレーニングが必須な訳で。
今年も、赤磐ぐんぐん・ぐんぐんぴっぴ・ぐんぐんキッズで合同の
「療育スタッフ勉強会」を隔週で実施しています。
今年度は「家族支援のためのロールプレイ」を繰り返し行っています。
「こんなお話をしてこられたとしたら、自分ならどう答えるかな」
「こういうお子さんの様子を目の前で見たとして、ご家族にどうフィードバックするかな」
「まずどこから情報収集したらいいかな」などなど、色々なテーマで練習しています。
実際に松田がお母さん役・お父さん役・おじいちゃん役になってアドリブで色々やりとりをしていきます。
実際にトライするスタッフも、周りで固唾を飲んで聞いているスタッフたちも
「そういう話の持って行き方があるのか」
「そうか、ここをもっと掘り下げて聞けばいいのか」
「あー、そういう結論に繋がる!?想定外!」など、
事業所を飛び越えて、色々な視点や考え方にも触れながら、皆で学びあっています。
家族支援にも本人支援にも「リスペクト」「アサーティブ」は必須です。
そのご家族が歩んでこられた家族としての歴史や考え方や思いをしっかり伺い、
家族としての思いを尊重しながら、
お子さんの今の現状や将来への見通しなどを踏まえて専門家としての思いも正直にお伝えしていきたいなと思っています。
一緒にたくさんお話していきましょうね。
今年度もどうぞよろしくお願いします。
(赤磐ぐんぐん児童発達支援管理責任者:松田紗代)
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